地図と人物でたどる、日本の時間。

飛鳥時代 / 和銅元年

708
和銅元年

和同開珎の発行

武蔵国から銅が献上された年、朝廷が銀銭・銅銭の和同開珎を発行。税・官人給与・都の市場を貨幣で結ぶ政策が始まった。

和同開珎は日本最初の貨幣と長く説明されましたが、7世紀後半の富本銭が先行します。重要なのは、律令国家が広域流通と財政のために継続的な貨幣政策を始めた点です。

場所
大和国・飛鳥池工房/武蔵国秩父
天皇
元明天皇第43代天皇
関係人物
1
元明天皇を描いた後世の肖像
元明天皇像和同開珎発行時の第43代天皇画像出典 ↗

OVERVIEW

和同開珎の発行を4段階で理解する

01 / 時代背景

律令国家と新都造営には、米や布だけでない交換手段が必要だった

官人への給与、資材調達、市での取引を効率化するため、朝廷は唐の開元通宝を参照した貨幣流通を目指しました。

02 / 起こった理由

武蔵国から自然銅が献上され、元号も和銅へ改められた

708年、秩父から銅が献上されたことを瑞祥として改元し、銀銭・銅銭の鋳造を命じました。ただし原料供給地と全鋳造所の関係は単純ではありません。

03 / 何が起こった

和同開珎が鋳造され、都と畿内を中心に使用が促された

政府は官人給与や税納付、平城京の市で貨幣を使わせ、蓄銭叙位令などで保有を奨励しました。地方では米・布・物品交換も長く併存しました。

04 / その後

皇朝十二銭へ続いたが、銭の質低下と物価変動も生んだ

朝廷は10世紀まで新銭を発行しましたが、改鋳のたびに交換比率が変わり、信用維持は難しくなりました。貨幣経済は一度に全国へ定着したわけではありません。

DEEP DIVE

和同開珎は、日本で最初のお金なのか。

『最初』の定義で変わります。富本銭が先行しますが、和同開珎は政府が継続的な鋳造・流通政策を展開した最初期の代表的貨幣です。全国で直ちに日常通貨になったわけではありません。

発行708年和銅元年
材質銀・銅銀銭が先行
先行貨幣富本銭7世紀後半
系譜皇朝十二銭10世紀まで

LOCATION

地図で見る

ピンは古代貨幣の鋳造遺構が見つかった奈良県明日香村・飛鳥池工房遺跡周辺です。和同開珎の銅献上地は埼玉県秩父市で、鋳造・流通は複数地域に広がります。

OpenStreetMapで拡大する ↗

BACKGROUND

背景を掘り下げる

律令国家と新都造営には、米や布だけでない交換手段が必要だった

官人への給与、資材調達、市での取引を効率化するため、朝廷は唐の開元通宝を参照した貨幣流通を目指しました。

武蔵国から自然銅が献上され、元号も和銅へ改められた

708年、秩父から銅が献上されたことを瑞祥として改元し、銀銭・銅銭の鋳造を命じました。ただし原料供給地と全鋳造所の関係は単純ではありません。

和同開珎が鋳造され、都と畿内を中心に使用が促された

政府は官人給与や税納付、平城京の市で貨幣を使わせ、蓄銭叙位令などで保有を奨励しました。地方では米・布・物品交換も長く併存しました。

CHRONOLOGY

何が起こったのか

  1. 富本銭

    飛鳥池工房などで鋳造痕跡が見つかりました。

  2. 武蔵から銅献上

    元号が和銅へ改められました。

  3. 銀銭発行

    和同開珎銀銭の鋳造が始まりました。

  4. 銅銭発行

    銅銭の流通が進められました。

  5. 蓄銭叙位令

    貨幣保有を官位と結びつけ普及を促しました。

KEY PEOPLE

和同開珎の発行を動かした人物

QUESTIONS

よくある疑問

読み

わどうかいほう、わどうかいちん?

銭文末字の読みには議論があり、現在も両方の呼称が使われます。本サイトでは一般的な『わどうかいちん』を採用します。

原料

秩父の銅だけで全国分を作ったのか

献上は象徴的ですが、原料・鋳造地は複数だった可能性があり、発掘と成分分析が続いています。

普及

庶民もすぐ銭で買い物したのか

都と官人層で利用が進む一方、地方では米・布・現物交換が長く中心でした。

IMPACT

その後、何が変わったか

01

都の市場経済

官人給与と物資調達に貨幣が組み込まれました。

02

国家による信用

鋳造・交換比率・法令を通じ、王権が価値を保証する試みが始まりました。

03

貨幣史の再評価

富本銭発見により『最初の貨幣』像が更新され、和同開珎の位置づけも精密になりました。

SOURCES

根拠と参考資料

造幣局造幣博物館案内和同開珎と皇朝十二銭を貨幣史から解説。一次情報を見る ↗造幣局古代銭貨特別展富本銭から和同開珎への変化を資料で紹介。一次情報を見る ↗文化庁飛鳥池工房遺跡富本銭鋳造と古代工房の発掘成果を掲載。一次情報を見る ↗